【市販マウスガード】

　現在市販されているマウスガードには、材料や作り方の異なる二つの

タイプがあります。

　①ボイル&バイトタイプ：これは、熱によって変形する材料（熱可塑

　　　　　　　　　　　　　性エラストマー）をお湯で軟化させ、口の

　　　　　　　　　　　　　中に入れて噛み合わせながら成形して作る

　　　　　　　　　　　　　マウスガードです。

　②シェルライナータイプ：これは練り合わせたシリコンゴムをシェル

　　　　　　　　　　　　（外殻）に注入し、それを口の中に入れて固

　　　　　　　　　　　　　め、歯の形にあったライナー（内層）を作

　　　　　　　　　　　　　り上げるものです。

　①は作り方が難しく適合性にやや問題がありますが、価格が安いこと

から現在はこのタイプのものが市販マウスガードの主流になっています。

②は噛み合わせに難点があったり、価格が高いことがデメリットです。

　いずれにしても市販マウスガードでは、適合性の良くないものは使わないことが肝要です。

適合性の悪いマウスガードは、口から外れてノドに詰まらせたり、使用中に顎を痛めたりします。

[注]マウスガードの呼称・マウスピース：口腔内装置の総称で選手がよく使います

　　　　　　　　　　　・マウスガード：口腔保護具として医療関係者が用いることが多い

　　　　　　　　　　　・マウスプロテクター、ガムシールド：外国で用いられています

　　　　　　　　　　　・テンプレート：これは機能改善用具でマウスガードではありません　

【カスタムメイドマウスガード】

　カスタムメイドマウスガードの作製には、シート圧接法とワックスモールド法という二方法がありますが、後者は製作方法が煩雑であるため現在ではほとんどのマウスガードがシート圧接法によって作られています。

シート圧接法によって作られるマウスガードには、次の二つがあります。

①シングルシートタイプ：1枚のシート材料から作るもので、機能的に満足できるマウスガードを比較的短時間に作ることができます。

②ラミネートタイプ：色や性状の異なるシートを何枚も重ねて作るもので、デザインの自由度の高いマウスガードの製作が可能です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（下写真右側2枚）

マウスガードの咬合調整

　マウスガードを使う上での大切なポイントの一つに、マウスガードの

調整があります。装着したときに痛いところはないか、噛み具合におか

しいところはないか、しっかりチェックして調整してもらいます。

このときの調整で重要なことは、競技中と同じスタイル(姿勢と装着用

具)で行うこです。ボクシングや空手では競技中と平常時では姿勢の違

いから顎の位置関係が異なることが指摘されています。また、ヘルメッ

トの着用によっても顎の位置が変化するためヘッドギアを使用する競技

では、調整時に必ず用具を持参してください。

　　マウスガードの調整(咬合の診査)は歯科医師のみができる医行為です！

マウスガード使用時の口腔衛生指導

　マウスガードの使用に際して、もう一つ注意しなければならないポイントはムシ歯の防止です。歯を磨かないでマウスガードを使用したり、さらにはプレイ中にスポーツドリンクを摂取したりするなどした場合は、カリエスリスクが高くなります。

　マウスガードを使用する選手は、作製前に治療をおこなったり、使用中も歯科衛生士による口腔衛生指導と歯科医師の診査(特にカリエスと顎関節症）を定期的に受けられることが大切です。

　マウスガード作製業者さんでは、衛生指導や診査は違法行為となります！